第11回がんと代謝研究会 in 草津

ご挨拶

 本研究会は、がんおよび代謝学に興味のある研究者が集い、独創的で面白い研究をされている研究者の発表に対して、参加者間で他に例を見ないレベルで活発な議論を交わすことが特徴で、とにかく楽しい研究会とのご好評を戴いている、いま最も注目されている研究会のひとつです。
 これまでに、北は北海道から南は奄美大島まで全国津々浦々に於いて開催され、直近では2023年が愛媛県松山市(道後温泉)、2024年が大分県別府市(別府温泉)と温泉地で開催されて参りました。
 そして今回、2025年5月28日(水)~30日(金)に群馬県の草津温泉『喜びの宿 高松』に於いて開催されることになりました。

 分子生物学の進歩とともにヒトの全ゲノムが解読されて20年が経ち、近年の次世代シークエンサー技術の発展も相俟って、がんをはじめヒトの疾患において高発現している遺伝子・発現が低下している遺伝子・変異が入っている遺伝子は勿論、疾患の治療標的分子も次々と同定され、生命科学研究は飛躍的に進化しました。
 これらの研究が、主に遺伝子、RNA、タンパク質の情報に焦点を当てているのに対し、代謝研究は最終産物である代謝物とその代謝経路を解析することで細胞の機能的状態や環境に対する応答を直接捉えることができる研究で、質量分析技術の発展に伴い、こちらも飛躍的に進歩しました。

 がん細胞の独特な代謝メカニズム(Warburg効果)をOtto Warburgが最初に報告してから100年が経過しますが、未だにがんの代謝システムには新しい発見が絶えません。がんにおける代謝学の面白さは、がん細胞が独特な代謝経路を利用して生存や増殖を維持しようとするメカニズムに注目できる点にあり、がんは単に遺伝的な疾患だけでなく、代謝が大きく再プログラミングされる病態であることがわかってきました。

 また、がんやヒトの疾患に限らず、生体内の様々な生命現象を代謝学という切り口から考察すると、遺伝子発現の解析だけでは解らなかったことまでが見えてきますので、代謝研究は古くとも新しい、とにかく面白い学問領域です。

 今回は、「がんと糖代謝」、「エピゲノム・核酸の修飾と代謝」、「運動と代謝」、「発がん機構」、「冬眠と代謝」、「老化と代謝」、「がんとアミノ酸代謝」、「白血病と代謝」などのセッションに加え、「ポスターセッション」、「公募セッション」や「若手セッション」も設け、それぞれの分野でいま面白い研究を展開している研究者より、最新の研究成果をご発表いただく予定です。

 草津温泉は兵庫県・有馬温泉、岐阜県・下呂温泉とともに日本三大名泉のひとつとされ、日本一の自然湧出量を誇る高温の酸性泉・硫黄泉(硫化水素型) が特徴で、古くから「天下の名湯」と称され、多くの人々に親しまれてきましたが、研究者の皆さん、なかなか訪れる機会もなかったのではないかと存じます。日本有数の高温を誇る温泉地で、まさに熱い議論と交流を深めていただきたいと存じます。学部生・院生・研究者、基礎・臨床を問わず、多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております!!

実行委員長
群馬大学大学院医学系研究科生化学講座
南嶋 洋司

 

【お問い合わせ先】
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